ちょっと今日は番外編として、無料配布冊子の話を。
さて、講談社ブルーバックスと言えば、泣く子も黙る科学系新書の草分けand大御所だ。
ド文系の僕だって名前は知っている。
最近、成毛眞の『AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である』に影響を受けて、科学系の本に興味を持つようになってきた。(これはソフトバンク新書)
で、これまた成毛眞さん主催のHonz(新刊・ノンフィクション中心の書評サイト)を購読してるので、理系トピックを気にしてみてると、ブルーバックスの新刊が紹介された。
これだ。
そういう経緯でブルーバックスが頭に刷り込まれたので、会社帰り、ふらふら〜っと本屋のブルーバックスコーナーに行った。
そして、見付けたのが、コレだ。
「…な、なんじゃ、こりゃあ!!」
と、恐らく100万回以上は使われて"100万回生きたネコ"の余命も尽きんとするであろうベタすぎるクリシェも気にならない程に驚いた。
(もしかしてベタすぎて何人か読むのを止めたかもしれない。その人達よ、済まない…)
これは、1963年より刊行をスタートした講談社ブルーバックスの、2,000巻刊行記念で先日から発行されてる小冊子。
なのだが、いかんせん良質・豪華過ぎる。
本好きの方々の89.2%がそうだと言われているように(注:嘘です)、御多分に洩れず小冊子を集めるのが好きな僕だが、この良質・豪華さを兼ね備えたものは、とんと見ない。
これは、
(コンテンツの良さ) ×(記念時で豪華に出来る)
という掛け算が成立したときだけ出来るものだ。
コンテンツが良いってのはあって、資生堂の「花椿」とか結構好きなんだけど、この掛け算はなかなかタイミングもあるし、なかなかござらん。
で、この小冊子の中身なんだけど、四つのパートに分かれている。それぞれ紹介していこう。
第1部 科学技術とブルーバックス2,000冊のあゆみ
ブルーバックスが生まれた1963年から現在まで、どういう科学技術が生まれていったかという変遷と、その時代時代に呼応したブルーバックスの代表的な本が、主だったニュースとともに通年史で紹介されている。
なんとブルーバックスが生まれた1963年は『鉄腕アトム』がアニメ放映された年で、来たる科学技術隆盛の時代を予見するようで象徴的だ。
主だったニュースなどと絡めて紹介されるので読み易く、「この時代にこういう技術、こういう本が生まれたのかー」というイメージを持てる内容になっている。
この通年史、マジで分かりやすくて文理問わず楽しめる。
早速「ブルーバックスの編集部、すげぇ」という敬意が湧いてくるパートだ。
第2部 特別エッセイ
ブルーバックスの著書を持つ著名人、ブルーバックスファンの著名人のエッセイを集めたパート。
もうね、面子が豪華過ぎる。
・2008年にノーベル物理学賞を受賞した小林誠
・ベストセラーで超多作サイエンス作家の青木薫
・『生物と無生物のあいだ』の爆裂ヒットなどで知られる生物学者の福岡伸一
・『進化しすぎた脳』などで脳科学ブームの立役者の1人となった脳科学者の池谷裕二
・宇宙物理学者でインフレーション宇宙論提唱者の佐藤勝彦
などなど…
もう"泣く子も黙る"たぁこの事です。
「さすがブルーバックスさん、ロイヤルストレートフラッシュ炸裂でおまんなぁ」という錚々たる面々。
しかも当然、各著者がブルーバックスへの想いを寄せる書き下ろし。これは読むしかありませんぞ。
第3部 データでみるブルーバックス
歴代発行部数、21世紀の発行部数、歴代発行冊数などのデータをまとめたパート。
見てると歴代発行部数トップ10は全て20世紀のもの。「おー、なんか、科学離れって騒がれてたけど本当だなぁ…」って思っちゃう。
だって、1位が『子供にウケる化学手品77』なのはまだしも、
歴代3位が1966年初版『相対性理論の世界』で、発行部数63万部で発行刷数100刷だかんね。
とかとか、色々考えのヒントになるデータ集。
第4部 編集部が選ぶ30冊一気読み
編集部から2,000冊の中から「これは」という珠玉の30冊を選んだもの。
古くは1963年発行の記念すべき第1冊目『人工頭脳時代』から、
新しくは2015年発行のノーベル物理学賞受賞者である天野浩の『天野先生の「青色LEDの世界」』まで、
新旧幅広く入り乱れた本のチョイス。
この中でスゲェなぁと思ったのが、1965年発行の『計画の科学』が77冊で未だに絶版にならず発行され続けている事。半世紀以上だよ、初版から。
こりゃもう、自分が活版屋だったら、死ぬ間際に「オレが組んだ活版がとうとうオレより長生きしやがった。活版屋冥利に尽きる話だぜ…」と充実感に満ちることだろうよ。
"命尽き果て、身朽ち果つるとも、恐るるな。文字は未だ崩れ果てず。"と自分の墓石には打ちこむことだろうよ。凄いね。
ちなみに中味としては、プロマネのマネジメント手法とかで結構出てくるPERTを解説してるらしい。そんな昔からあるのね…
と以上の内容。
とても無料の小冊子を紹介するようなブログの量じゃなくなってしまったし、それは当然それだけこの冊子の内容が濃いから。
無料だし、とりあえず本屋、もしくは電子版を落として読んでみましょうよ。話はそれからだ。
おしまい。
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