2017年1月8日日曜日

書評『SMAPと平成』『大人のSMAP論』

さてさて、SMAPの話でございます。

昨年末、解散に向けて色々と騒がれる中、半分ミーハーな気持ちが入りつつも、芸能史的な興味が徐々に頭をもたげてきた。

去年落語を聴き始めたのをきっかけに、昭和の芸能史の流れはある程度追ってきてるつもりだが、平成はほとんど分からない。
テレビ番組的に言うと、『夢で逢えたら』は追えたけど、『夢がMORIMORI』は追えてない。
すなわち出演者で言うと、ダウンタウン、ウンナンは追えたけどSMAPは追えてない。

そんな感じで読んどきたいなと思い、 SMAP本を探してみると、新刊があるある。

ざっと書店でみる限りでも、12月に刊行されたSMAP関連の新書が3冊あった。

         
その中から、通史的なものを1冊と、著者が好みのやつを1冊をチョイス。

通史的なものが『SMAPと平成』で、著者が良いなと思ったのが『大人のSMAP論』。

まずは『SMAPと平成』、これはタイトルのパンチ力が断トツ。タイトル勝ち。

ただ実際の内容は、ジャニー喜多川誕生〜1996年(平成8年)が中心で、それ以降の記載はほんの少しなのはどうよと思う。

あとがきで1997年以降をあまり書けなかった理由を述べてはいるものの、「タイトルとスコープが違うんじゃねぇの?」が正直な感想。

せめて『SMAPと平成の誕生』とかにしてほしい、タイトルのパンチ力は下がるけど。

とはいえ、内容としては一番知りたい所が詳しく載っていた。

今や当たり前になったSMAPがテレビにいる風景、それが完成されたのがSMAP×SMAPの放映が開始され、ロング・バケーションでキムタクが平均視聴率29.6%を叩き出した1996年。

そこに至るまでが、ジャニーズの発祥から綴られている。ジャニーズ発祥から追っていく事で、SMAPがそれまでのジャニーズのタレントとどう違ったのか、また、その背景として芸能界、テレビ番組の風潮を捉える事が出来ている。

この辺りが分かりやすく示されているのが、この本の一番の功績だと思う。

ただ、SMAPの歴史とその時の時代状況を織り交ぜて語られているんだけど、平成になってからは政局が中心過ぎて、SMAPの歴史とあまりにも関係ないのがイマイチだった…。

新党さきがけが云々…と言われても正直ねぇ、という感じ。流行語とか、時代の風俗を織り交ぜるべきだったよなぁと思った。時間なかったのかも知れないけど。

まぁ、ぶちぶち文句も挟んだけれど、最近出た新書の中で、デビュー〜ブレイクまでのSMAPの歴史が事実ベースで1番まとめられているのがこの本なのは、間違いない。
なので、一冊読むなら、僕はこれを勧める。

次に『大人のSMAP論』。著者のうち戸部田誠は前に『1989年のテレビっ子』の書評を書いた、cakesでの連載をいつも読んでいて、
速水健朗は社会学者で、去年、都市論が気になった時に『都市と消費とディズニーの夢』『東京β』を読んで割と注目している人だ。(この人もcakesで連載がある)

これは対談形式でザッーとすぐに斜め読み出来る。

内容は、芸能史的に見てSMAPの何がスゴイのかという話、解散報道諸々の報道ってどうなのっていう話、音楽論・メンバー論・テレビ論の話、今後芸能界はどうなるのっていう話。

軽い読み口で読めるんだけど、結構鋭いとこ付いてるんじゃないかなーと思ったり。

例えばSMAP×SMAPの中であったSMAPメンバーの公開謝罪。僕も見たけど、ブラウン管の中のメンバーの表情は本当に酷くて、「放送事故じゃん」って本気で思うような表情だった。

その辺りも対談で俎上にあがっているところとかが自分好みだ。ちゃんとTV見て意見を言ってるというのがわかる。まぁ正直、いつもcakesの記事とかで読んでる人達なので個人的に読みやすかったというのが大きい。


他の1冊も本屋で流し読みしたけど、総じて言える事は、どれもきっと解散報道の後、急いで企画して、年末の発売に間に合わせたんだと思われるので、「手持ちの駒で勝負しました」という所がある。

これはまぁ、期間を考えると致し方ない部分と思うので、時間が許すなら複数冊読む事をお勧めする。

まぁ、新書という事で情報量も限られるし、きちんと資料を集めてまとめきれるような期間も無かったわけだから、決定版といえるようなSMAP伝を、誰かがきっと出してくれるのだろうと、今後に期待する。


おしまい。

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