2015年12月25日金曜日

2015紙芝居まとめ

移動図書館管理人兼紙芝居師のどいけんです。

さて、今年のまとめ第2弾は、僕の本業(?)である紙芝居。
今年やった紙芝居について振り返り、簡単な紹介をしたいと思います。

今年やった(書いた)紙芝居はというと、

1. 『働く』
2. 『東京物語』
3. 『色街の歴史』
4. 『古事記』(構想のみ。未発表)
5. 『四十八手 feat. うえぞのかよ』
6. 『怪談』
7. 『5分で分かる芥川賞2015』
8. 『明治アメイジング』(後半は未発表)
9. 『私の履歴書』
10.『旅』
11.『市井の人々(short ver.)』

というラインナップで全部で10本(構想のみを含むと11本)でした!

数え上げてみると、多いね結構!!
まぁ、今年は結構やれる時間が多かったので、こんな感じでございます。

基本的には例年通り はすとばら@渋谷 でやらせてもらっていましたが、一本だけ fai@青山に遠征させてもらいました。

さて、それでは一本一本見ていきましょう。


1. 『働く』
久々の移動図書館でやった紙芝居。

難しくて色々考えあぐねて宮本常一読んだりとか、民俗学的な事とかもネタを仕入れました。

ただ結局、企業の面白キャッチコピーしか自分でも覚えていないという…


2. 『東京物語』
スリーピースバンド“おせち”の“せ”こと瀬川修平くんの札幌帰郷に伴うイベントでやった紙芝居。

別れゆく修平のはなむけとして、東京の事をこれでもかと紙芝りました。

渋谷、新宿、浅草、品川、二子玉川…と、ブラタモリと地図と本をベースに仕上げたまして、

修平がニコタマに住んでると思って二子玉川を取り上げたのに、実はたまプラーザだった事も発覚したという当日ハプニングもありました。

タモリと落語にハマってきたタイミングなので、それもがっつり盛り込んだ、自分では結構お気に入りの一作。


3. 『色街の歴史』
春の"めがねづくし"イベントで深夜にやった、初の大人の紙芝居。

吉原に代表される江戸時代の遊郭から始まり、明治から戦後の赤線青線とその廃止、そこからトルコ風呂に流れ、日活ロマンポルノとかピンク映画が生まれ、ビデオデッキの普及でAVが台頭する…という一連の流れをやった紙芝居。

前日に三ノ輪の浄閑寺から吉原大門跡地、吉原の中とぐるりと散歩しながらネタを探し(途中で何人も客引きのお兄さんに声掛けられた…)、代々木忠の映画でAVの歴史もおさえました。

中身としては割と整ってたと思うけど「もっと卑猥なの欲しかった」という前のめりな感想も頂きました。
それを受けて夏の『めがねづくし』のテーマを決めてってます。
  

4. 『古事記』(構想のみ。未発表) 
夏のイベント"めがねづくし"コラボネタに向けて仕込んだ話。

池澤夏樹訳の『古事記』を読んで下書き位までしたんですが、話し合いの末『四十八手』をやることに…

というわけでこの話はそのまませずにお蔵入り。。


5. 『四十八手 feat. うえぞのかよ』
さすらいのLIVE漫画家うえぞのかよちゃんとのコラボ。
夏のイベント"めがねづくし"
絵は描いてもらって僕が読むというスタイルで作りました。

いやー、これは楽しかったね。調べてくと四十八手って48個以上あるんだね。

あと調べてる流れで見つけた、台湾の四十八手が超ウケたね、使わなかったけど。 空中浮遊しながら、とか喉元に槍を刺しながら、とか大分自由な感じ。

名前的に大好きなのは「岩清水」と「理非知らず」。あとはトンデモ系で「炬燵隠れ」、「炬燵かがり」も江戸の民の大らかさ、変態さが出ていてとても好きっす。(どんなのかは自分でググってね!)

90分の大枠でやらせて頂きましたが、夜中のテンションでいい感じでした。


6. 『怪談』
これも夏の"めがねづくし"で夜中にやったやつ。

今年の夏は稲川淳二にハマってYouTubeの怖い話を聞きまくっていたのでそれと、ネットのオカ板とかの有名な話を取り混ぜてやりました。

稲川淳二の怖い話を稲川淳二風に朗読する、というのも間に混ぜたので、結構喋り寄りの紙芝居でした。

いやー、でも怖い話って、話すの本当に楽しいっすね。自分の体験ないし、マジで怖いのはちょっと…アレですが、またやりたいっす。


7. 『5分で分かる芥川賞2015』
fai@青山 遠征でやった一本目。普通のクラブだし、初めての場所だしということで(自分的に)キャッチーな内容に。

尺も、2-30分位で何本かという事だったので一本は短めにしました。

又吉の『火花』と羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』の内容紹介と芥川賞クイズという内容。
『スクラップ〜』は読んでないんだけどね、実は。

お客さんを掴むのが難しくて大変でしたが、まぁ、他流試合というのはそういうものだなと思いました。いつぞやクルージングでやった時のドン引き具合と比べれば優しかったですな。
しかし、もっと他流試合も慣れたいっす、つかみとか覚えたい。


8. 『明治アメイジング』(後半は未発表)
明治アメイジングという団体名で参戦したので、明治時代のアメイジングな人を4人紹介して20分 × 2枠という構成をイメージ。

ただ堪え性が無くて人選はかなり好き放題マニアックになってしまいました…。勝小吉、三遊亭圓朝、益田太郎冠者、南方熊楠の4人。

結局、客層を見て、一回目で止めたんで後半はお蔵入り。。まぁ、こんなもんですな。熊楠は結局、移動図書館『旅』の会で使いました。

ちなみにこれの準備で益田太郎冠者の伝記を読んだけど面白かった。

日本最初の喜劇作家、新派劇の立役者、レビューという形式の創設者と、日本の近代演劇に大きな影響を与えた、超が付くほどのボンボン(三井物産創設者の息子)です。

結局、圓朝まで紙芝居やり、そのあと『死神』をやり、次の20分も聞いてくれる人向けに『宿屋の富』をやりました。


9. 『私の履歴書』
これは20代最後のイベントとして、土井健太郎 a.k.a どいけん feat. 俺。ばりのオレオレイベントでやらして頂きました。

本当に自分の来し方を紙芝居に書いて話したという、お客様ありきクローズドな会でした。

この日は紙芝居もそうだけど、落語で『居残り佐平次』やったのがほんと気持ちよかったっす。創作落語も初めてしました。


10. 『旅』
移動図書館『旅』にてやりました。

満を持しての旅という事で旅語りとかの趣向も用意させて頂きました。

やったのは南方熊楠。こじつけに思われるかもしれないが、その通り。
だって粘菌とにかくやりたかったんだもん!ってな勢いでやった話です。

お客様の教養の高さにいつもながら救われました。ただ、自己評価としては『私の履歴書』で燃え尽き過ぎだろ感が否めない、すんませんな感じもございました。。


11. 『市井の人々(short ver.)』
こちらは個人的に反省多き、はすとばら9周年、銀河鉄道999はすばら宇宙へ!の最終日にやらせて頂いた紙芝居。

前半は四十八手リプライズ、後半は市井の人々を今後1-2枚で毎回の定番化しようとしているので、軽くご紹介。

ペイティさんとか、平安文学大好きで「平安時代に生まれたかった」って泣いた女の子とか、とにかく主役ではないけども心に残る一般人を紹介するコーナーです。

「シュール過ぎるので一本丸々は辛い、でも話したい」という欲求を満たすために生まれたコーナーですので、そのつもりで!


とまぁ、以上が紹介でした。

今年も色々やらせて頂きまして、本当にお世話になりました!

お子も産まれ、来年はどれだけやる機会確保できるかがポイントになりそうなんですが、どこか分からない高みを目指して頑張ります!!

以上、どいけんでした。

【関連する記事はこれ!!】
同じく2015年のまとめ記事です。 → 2015読んだ本まとめandベスト

おしまい


2015年12月21日月曜日

2015読んだ本まとめandベスト

移動図書館管理人兼紙芝居師のどいけんです。

さて、今年もあと10日という事で、個人的に毎年やっている1年の本まとめとベスト選びを勝手に晒します。 

■2015読んだ本 
【フィクション】 
1.『古事記』池澤夏樹 
2.『樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外』川上未映子訳(たけくらべ) 
3.『火花』又吉直樹 
4.『ファイト・クラブ』チャック・パラニューク 
5.『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 
6.『なんとなくクリスタル』田中康夫 
7.『私の恋人』上田岳宏 
8.『終の住処』磯崎憲一郎 
9.『愛と人生』滝口悠生 
10.『点と線』松本清張 
11.『ゼロの焦点』松本清張 
12.『けものみち』松本清張 
13.『鳳仙花』中上健次 
14.『百物語』杉浦日向子 
15.『黄昏のボードビル(ウェルカム上海)』斎藤憐 
16.『怪しい来客簿』色川武大 
17.『岡本綺堂(ちくま日本文学32)』岡本綺堂 

【ノンフィクション・エッセイ】 
18.『絶歌』元少年A 
19.『壇蜜日記』壇蜜 
20.『東京百景』又吉直樹 
21.『本と怠け者』萩原魚雷 
22.『遠い昨日、近い昔』森村誠一 
23.『天国は水割りの味がする』都築響一 
24.『断片的なものの社会学』岸政彦 
25.『生きていく民俗』宮本常一 
26.『黄金町マリア』八木澤高明 
27.『森の思想』(一部)南方熊楠 中沢新一編 

【芸能】 
28.『「今夜は最高」な日々』高平哲郎 
29.『銀座の学校・新宿の授業』高平哲郎 
30『タモリ論』樋口毅宏 
31.『タモリと戦後日本』近藤正高 
32.『タモリ 芸能史上、永遠に謎の人物(文藝別冊/KAWADE夢ムック)』 
33.『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か』戸部田誠 
34.『タモリ伝 』片田直久 
35.『タモリ読本(洋泉社MOOK)』 
36.『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝』赤塚不二夫 
37.『これでいいのだ 赤塚不二夫対談集』赤塚不二夫 
38.『喜劇の殿様 益田太郎冠者伝』高野正雄 
39.『日本の放浪芸』小沢昭一 
40.『写真集 昭和の肖像<芸>』小沢昭一 
41.『色川武大・阿佐田哲也エッセイズ<2>芸能』色川武大 

【落語】 
42.『現代落語論』立川談志 
43.『最後の落語論』立川談志 
44.『談志が遺した落語論』立川談志 
45.『談志 まくらコレクション』立川談志 
46.『努力とは馬鹿に与えた夢である』立川談志 
47.『談志百選』立川談志 
48.『遺稿』立川談志 
49.『立川談志自伝狂気ありて』立川談志 
50.『新釈落語噺』立川談志 
51.『立川談志 落語の革命家(文藝別冊/KAWADE夢ムック)』 
52.『家元を笑わせろ』立川談志 
53.『ザッツ・ア・プレンティ』松岡弓子 
54.『赤めだか』立川談春 
55.『古今往来』立川談春 
56.『談志のことば』立川志らく 
57.『落語名人芸 「ネタ」の裏側』立川志らく 
58.『銀座噺 志らく百点』立川志らく 
59.『風流らくご問答』立川志の輔・玄侑宗久 
60.『世の中ついでに生きてたい』古今亭志ん朝 
61.『古今亭志ん朝 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)』 
62.『ま・く・ら』柳家小三治 
63.『志ん生藝談』古今亭志ん生 
64.『文楽の落語藝談 長生きするのも藝のうち』桂文楽 
65.『八代目桂文楽 古典落語の神髄「黒門町の師匠」文藝別冊/KAWADE夢ムック)』 
66.『こんな噺家はもう出ませんな』京須偕充 
67.『志ん朝の走馬灯』京須偕充 

【ビジネス】 
68.『ゼロ・トゥ・ワン』ピーター・ティール 
69.『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン 
70.『How Google Works』エリック・シュミット他 
71.『デザインコンサルタントの仕事術』ルーク・ウィリアムス他 


■総評 
全71冊、ジャンル分けはかなり適当。
あと、出版社とか書くのがしんどくて諦めました、すんません。
もっと読んでる筈だけど、思い出せないとかつまみ読みしてるとか途中のとか抜いたら、こんなもん。 
こうやって見ると落語とタモリで半数近くと、偏りがヒドいですね。 

今年は1人の時間が長かったし、他にも色々吸収したんだけど、テレビとかYouTubeとかCDとか、本とマッピング出来ないインプットが結構ありました。 

落語はやっぱり落語だし、タモリは動画か音声だし、稲川淳二も音声だし。 
吉原とかエロ系もここに載ってないインプットがけっこうあるけど、
映画とかサイトとか本も関連箇所だけ漁る感じだったのであんまり出てないですね。

で、中身にざっと触れていくと、 

フィクションは去年の暮れから、池澤夏樹編纂の日本文学全集が刊行され始めたのもあり、それ関連が2冊入ってる。『古事記』は紙芝居用に読んだ(紙芝居は結局ボツったけど)、たけくらべは未映子ちゃんの現代語訳だったから。 

文学界で又吉の『火花』を読んで、芥川賞取るかどうかもってのを気にして最近の作家を幾つか読んだのも形跡がある。上田岳弘とか滝口悠生とかはその流れ。

あと、ハヤカワも今年70周年記念とかで新版が幾つも刊行されていて、『ファイト・クラブ』はその関連。 

『鳳仙花』を嚆矢に、暮れは中上健次をガツガツ読んでそっからフォークナー、ガルシア=マルケスと土臭い南北アメリカ大陸に想いを馳せていこうかなと思ってたけど、松本清張が結構面白いのと読みやすいのとでそっちに流れてしまい頓挫中、というのが今の感じ。 

ノンフィクションは『黄金町マリア』、『天国は水割りの味がする』、『断片的なものの社会学』がスゲェ良かった。 
この三冊はどれも強引に読ませたいレベル。 
ただ『黄金町マリア』は内容が内容だから、復刊されたけど早いとこ買わないとまた絶版になりそう。うちの近くの文教堂からも瞬殺で回収されてたし。 

芸能と落語、すなわちタモリと立川談志は今年ハマったものの色を最も表してる。

ビジネスはまぁ、もうちょい読んだ筈だけど、面白いやつ以外売っちゃったし覚えてないから判る分だけ、「一応流行りのものも多少読んでますよ」って感じで。
『ゼロ・トゥ・ワン』が一番面白かった。 

■ベスト 
さて、ベスト選び。

1.『努力とは馬鹿に与えた夢である』立川談志 


2.『ファイト・クラブ』チャック・パラニューク 


3.『断片的なものの社会学』岸政彦 


3.『天国は水割りの味がする』都築響一  


3.『黄金町マリア』八木澤高明 


6.『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ


こんな感じかな、結局1位はかなり主観的な想いに引っ張られて談志になっちゃった。

まあ、ただ談志は落語だけでなく、その哲学、そして昭和の芸能・エンタメ史を見尽くして、体現してきたことが、今年色々読み漁り、落語を聴き漁って判った。
好き嫌いが物凄く分かれる人ではあるけれど、落語史にも残るでしょうこの人はと思っている。

その読み漁りの中で1位にした本は、落語論でも何でもないんだけど、談志が20世紀を振り返った内容の、強烈に刺さった短文があるから1位。
図書館で借りて読んで、それを手元に置いておきたいから買ったし。そういう自分の感傷的な本です、この1冊に関しては。

2位の『ファイト・クラブ』、これは映画になったのでみんな知っているとは思うんだけど、原作がこんなにいいと思わなかった。
正面切ってこんなにブッ刺してくる小説だとは思わなんだ。解説もいいし。

あと、優柔不断で3位が多いけど、少なからず自分に刺さってきて影響を与えた本で線引きすると、ここまでは落とせない感じ。総評でも書いたけど、談志は主観的に、ほかはベスト3まではどれも強引に読ませたい。

ベストに選出したやつは、別途まとめてもう少し細かい書評を書きます。

さて、今年もまだ本読んですけど、来年もまた、沢山いい本読みたいな。
毎年これ位は書きたい事があるといいんだけどな。 

あと、本以外も振り返ってると、今年は全然映画見てないし美術館も行ってないのにちょっと愕然。来年はもっとその辺頑張ります。

それでは、どいけんでした。 

【関連する記事はこれ!!】
・同じく2015年のまとめ記事です。 → 2015紙芝居まとめ
・『ストーナー』の記事       → 書評:ジョン・ウィリアムズ『STONER』
おしまい 

2015年12月17日木曜日

書評and読書メモ:松本清張『点と線』『ゼロの焦点』『けものみち』

移動図書館管理人and紙芝居師どいけんです、松本清張を読んでます。

単なる食わず嫌いでこの辺りのミステリー・大衆文学の系統は読まなかったんだけど、こないだ出た森村誠一の自伝を読んで、そっから森村誠一を読まずに(笑)先輩の松本清張をがしがし読み始めてます。 

理由としては、森村誠一の自伝読み終わりそうな所で本屋に行ったらケトルの「松本清張が大好き!」を見つけたから。 



「あー、壇蜜はもうひと波終わった感あるけど、松本清張の流れに置くとなんかそれっぽいなー」とか、 
「いやー、清張が描くサラリーマンの法則とかないわー、昭和だわー、逆に良いわー」とか、 
好き勝手にくさしながら立ち読みした挙句、その足で古本屋行って『ゼロの焦点』買いました!笑 




そしていま、見事に松本清張ハマってきてます!!笑
ウチから徒歩1分の古本屋で、大体の主要作が100円なのも勢いを助長してます!!

今のところ読んだのは『ゼロの焦点』『点と線』『けものみち』の3つ。


『ゼロの焦点』『点と線』あたりは松本清張ミステリーの代表作として名高いし、僕もそれを知っていたのでこの2冊を真っ先に読んだけど、個人的には『けものみち』が一番面白かった。
構成がほんとに巧みだしストーリーも面白くて、人間関係と事件を追って次々とページを捲ってしまい、文庫本で700ページ強あるのに3日で読み終わってしまった。 

『ゼロの焦点』は事件の背景とかが書かれた時代を思わせるもので面白く、最初の1冊には最適だったんだけど、犯罪の動機としては、「もう今の時代だと耳では解るけど肌感覚としてはわからん」というのが正直な感想だった。

『点と線』は良かった。「さすが松本清張!これぞ真骨頂!!」と思った。
時刻表が事件に出てくるのなんて今の時代ではもう当たり前なので、その辺りの新鮮味は感覚としてはわかんなかったんだけど、本格ミステリーの嚆矢としてこの作品が出たという事を考えると、そりゃもう昭和文学史的には語らないわけにはいかんなというのが納得できた。


読みやすくて面白いし、もうちょっとまとまりで読んで面で抑えられるようにしたいなーとか無駄に殊勝な事を考えているので、次は『砂の器』あたりを読んで、それから『日本の黒い霧』『昭和史発掘』とノンフィクションに進んでいこうかなーという算段。 

もうちょい読んだら、またまとめて書評書きます。 

しかし、傍らの中上健次がなかなか進まんなー、『枯木灘』を読むといっつも途中で終わって読み通せないんだよな、もう3回目位なんだけど。 
『鳳仙花』はちゃんと読破したのにな。。。 

おしまい 

2015年12月15日火曜日

書評:ジョン・ウィリアムズ『STONER』

こんばんわ、移動図書館管理人兼紙芝居師のどいけんです。

早いもので、もう2015年も終わりますね。 
僕は毎年、読んだ本やら観た映画やらの棚卸しをやっているんですが、2,3年振りに今年はまずまずの成果がありそうな年でした。落語を聴き始めたりとか、本もそこそこいいのを見つけられました。 

棚卸しに向けてという訳ではないのですが、11月後半から本を読む時間が少し出来てきて、「今年中にもう一つ二つ、グサッと来る奴読みたいなー」と思っていた矢先、今年ナンバーワンの勢いで突き刺さってきたのがこの本です。 



僕が購読しているブログで今年のベスト・フィクションと書かれていた小説で、「作者も題名も聞いた事ないな」と思ったら、およそ50年ぶりに新訳され今年復刊されたらしい。 
そして第一回翻訳小説賞(柴田元幸、などが審査員をしている)という賞も受賞しており、そちらの方面ではかなり話題の本のようだ。 


という情報を得た僕は「ファイトクラブ(これも今年このブログに出ていたのをきっかけに読んだ。)を斥けてベストに選ばれてる、しかも、柴田元幸とかも絶賛してるってのは、どんな小説なんだろう」と思い、早速Amazonでポチりました。 

ポチると"宅配まで12日前後"とか表示されたので、一瞬「なめんなコラ」と思ったんですが、結局2,3日位で届いたので、読みかけの中上健次を傍らに放置して早速読み始めました。 

内容をサマるなら「とある、うだつの上がらない、アメリカの地方大学の英文学者の生涯を綴った小説」と、たったこれだけ。 
だけど良かった。あらすじから考える自分の想像の斜め上、位は想定してたけど、読後感はそういう感じではなかった。 
内容も勿論異なっていたし、上手く言い表し難いけど、言葉選びの巧みさなのか、あらすじから想像出来る自分の心の動きよりもグッと色々な事に想いを引き寄せられた。 
きっと他の人の人生もこんな風に、傍目から分からない色んな事が起きていたりするんだなと思わされた。 

読み進めていく過程はこんな感じ。 

最初数ページ、キャラクター、文章、プロット、どれも上手いし、最初でつまづく事なく読み進められる。 
3分の1、最初と同じように読み進められる。いいフレーズもかなり多い。「3分の1でここまで生い立ちを進めてしまって、後半だれずに物語が終わるのだろうか」と、ちょっと不安になる展開の速さ。 
ただ、最初の3分の1と同じ調子だとしたら、ちょっとイメージ通りの読後感になりそう、とか少し思うのがこの辺り。ここで止めちゃうと1番面白いところが読めないから、ここで止めちゃダメ。 
半分、エピソードも進み面白い、ちょっと思ってたのと違ってきた。読むスピードが上がってくる。 
3分の2、来た来た。ぐいぐい読める。夢中で読み進める。 
そしてそのまま一気に読み終わる。 

なんだかんだ僕は300数十ページ、結局2日で読み終えてしまいました。 

ぐいぐい一気読みしてしまう感じなので、年の瀬ひと段落して、落ち着いて読書するのにおすすめです。 

以上、どいけんでした。 

おしまい 

移動図書館ぶろぐ開設

みなさん、こんにちわ!
移動図書館ぶろぐ管理人兼紙芝居担当のどいけんです。

休み休みのんびりと続けて参りまして、
早3年、足掛け4年にならんとす移動図書館、
日頃のご愛顧承りまして、有難うございます。

この度、「もっと頻繁にやってほしい。ダメならせめて、せめてぶろぐでも開いて、本の紹介をしてほしい!!」
というファンの皆様の声を頂き賜っ、、、てはいないのですが(「もっとやれよ。」はリアルに頂きますが。。。)、
管理人の独断と自負と偏見でブログを開設する運びとなりました。

実際、イベント自体はあまり頻繁にやれていないので、
イベントの凪の時期も、本好きの皆様の心に少しでも長くとどまるべく、
また、イベントでの話の種の一つにでもしてもらうべく、
今後、ぼちぼちと読んだ本の紹介やら、
イベントの告知やらをしていこうと思っておりますので、宜しくお願いいたします。